少し間が空いてしまいましたが、先月、京都で開催された BitSummit Vol.6 へ行ってきました。
その中で、プレイしたタイトルの感想や、未プレイながら目を引いたタイトルの紹介をしていきたいと思います。
前編となる本稿では、実際に体験版をプレイして、印象的だったタイトルを紹介します。
目次
嘘つき姫と盲目王子
『日本一ソフトウェア』による、手描き調のグラフィックが印象的なタイトル。
2D の小規模開発らしい雰囲気は、同社の『夜廻』シリーズが思い起こされます。
王子の手をつないで導く、姫は化け物の姿となって戦う、という設定はありますが、システム自体は非常にオーソドックスな 2D パズルアクション。
体験した範囲では、物語もあまりダークな雰囲気はなく、絵本や童話のような印象でした。
BitSummit 終了後の 5月末 に発売済みのタイトルとなり、ゲームそのものの評価は低くないものの、定価に対するボリュームの不足を指摘する意見が多いようです。
ビデオゲームにどの程度のボリュームを求めるかは人それぞれですが、インディーらしさの目立つ本作は、フルプライスでは割高と感じる人が多かったのかも知れませんね。
Bloodstained: Curse of the Moon
『IGA』氏 ×『インティクリエイツ』で開発中の 2D 横スクロールアクション『Bloodstained: Ritual of the Night』のスピンオフ作品。
BitSummit で電撃的に発表され、そのまますぐ、2週間後に配信開始。
なんというかもう、ステージでの発表を見ていたら、隠す気の無い『悪魔城伝説』そのものな映像が流れ始めて、終始ニヤニヤしていました。
武器やサブウェポンが全体的に似通っているのはもちろん、どう見ても『アルカード』そのものな4人目のキャラ『ジーベル』なんかもう…。
自分も現在プレイ中ですが、古い見た目に反して操作感は非常に良好(もちろん悪魔城の独特な操作ではありますが)で、派手な演出もあり、『ショベルナイト』のような「今の時代に作った、本気のファミコンソフト」という楽しさが味わえます。
細かく言えば、『ショベルナイト』がファミコンでの表現が極まった90年代初期の豪華な作品の雰囲気である一方、本作は80年代後期の作品を現代風にアレンジした雰囲気、という違いはありますが。どちらもとても面白いです。
白き鋼鉄のX(イクス) THE OUT OF GUNVOLT
『インティクリエイツ』から『Bloodstained: Curse of the Moon』とともに発表された、『ガンヴォルト』シリーズの最新作。
2作目『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪』でプレイアブルとなった『アキュラ』が主人公のようです。
自分は初代『蒼き雷霆 ガンヴォルト』のみプレイしたのですが、2作目の映像などを見ていて、「アキュラくんの操作は難しそうだなぁ…」という印象を受けていました。
たしかに PV のような軽快な操作で進んでいくのには慣れが必要なのかも知れませんが、試遊した限りでは、ガンヴォルトの「メイン攻撃の前にワンクッション必要となる」というコンセプトとほぼ同様で、特別な難しさは感じませんでした。
1作目はクリアだけなら易しく、やり込み要素はやりがいがある、とても楽しめたアクションゲームだったので、2作目もプレイしつつ、本作の販売を待ちたいと思います。
おわかれのほし
https://bitsummit.jp/exhibitor/detail.php?aid=91
2016年に大ヒットとなった『ひとりぼっち惑星』の作者『ところにょり』氏の新作です。
ゲームシステムは、横スクロールの中でキャラクターに話しかけ、アイテムを探して使用してフラグを立てて進めて行く、というとてもシンプルなものです。
しかしながら、世界設定やストーリーはとても印象的で、ゲームというよりノベルとしてのめりこんだ作品でした。
ヒトが絶滅し、機械がヒトとして生きる世界。
主人公は、『死んだ機械のヒト』が死ぬ前に叶えたかった願いを追って、彼らを弔っていく。
ひとりひとり、死ぬ前の様々な想いや後悔があり、生前に関係のあった人たちへの感情が明かされていく。
おそらく物語を読み進めるにつれて、世界設定についても掘り下げられていくのではないか、と思いました。
BitSummit Vol.6 の中でも、特に印象深かった作品のひとつです。
She Remembered Caterpillars
可愛らしくも、独特な見た目のパズルゲーム。
Steam では配信済み(日本語非対応)で、近く Nintendo Switch での配信が予定されているようです。
赤のキャラと青のキャラ、そして「それぞれの色だけが通れる道」や「それぞれの色だけが通れない道」があり、それぞれに対応した色のゴールを目指していきます。
独特なシステムとして、赤と青を合体させることで紫のキャラを作り出すことができ、紫のキャラは赤と青の双方の特徴を併せもつキャラとなります。
この色同士の『合体』と『分離』を利用していくことで、各色の「通れない道」をやり過ごし、上手くゴールへ導いていくのが醍醐味となります。
ふわふわとした見た目ながら、なかなか難しく、やりごたえのあって楽しめるパズルゲームではないかな、と感じました。
OLIJA
見た目は最近よくあるピクセルアートな2D横スクロールアクションという感じで、操作もシンプルですが、「銛を投げる」ことにアクションの幅を持たせたコンセプトになっています。
この「銛を投げる」アクション、単なる遠距離攻撃手段ではなく、「銛をひっかけた場所へワープ攻撃ができる」という特徴があり、どこにも引っかからずに落とした銛は「手元まで攻撃判定を持たせながらワープさせる」こともできます。
(少し違いますが、動きのイメージとしては『ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-』の「光子アクション」による入れ替えみたいな感じ)
このようなスピーディなアクションに加えて、細かく動くドット絵のアニメーション、そして爽快感を増幅させる SE など、古典的なアクションゲームに見えて、随所に丁寧な工夫が為されていて、触っていてとても楽しい作品でした。
BQM-ブロッククエスト・メーカー
『マリオメーカー』ならぬ『ゼルダメーカー』。
見下ろし型アクションアドベンチャーのダンジョンを作成するゲームで、地面のタイルを敷き、謎解きの道具やトラップを配置、フラグを設定して、攻略するべきダンジョンを形作っていきます。
驚いたのがフラグ設定の細かさで、「このスイッチを押したら、この扉が開く」というよくある設定だけでなく、「ここの敵を全滅させたら、橋がかかる」とか「このNPCに話しかけたら、扉が開く」などの設定も可能になっています。
これらを組み合わせることで「あそこのモンスターを倒してこい」→「よくやった、この扉を開けてやろう」→「新しいアイテムを入手」みたいな、ちょっとしたストーリーの流れを持たせることなんかもできます。
アクションゲームとしてだけでなく、RPGツクール的な使い方もできそうで、着眼点の面白さと、作り込みの丁寧さが印象的なタイトルでした。
Muse Dash
やっていることは「要するに音ゲー」なのですが、ポップなキャラクターのアクションがとても可愛らしく、操作もシンプルですし、とても取っつきやすいタイトルかと思います。
古くからアーケードゲームを中心に発展してきた音ゲーというジャンルは、高難度化によって時には取っつきづらい印象を抱かれますが、近年は『リズムハンター ハーモナイト』のように「アクションゲームのガワをかぶせる」ことで、直感的な見た目で取っつきやすくしているタイトルも増えつつあります。
派手なアクションを自分が操作している感覚、というアクションゲームとしての爽快感と、音ゲーとしてのリズムに乗りビートを刻む爽快感、双方をしっかり取り込んだと言える本作も、プレイしてみるのが楽しみです。
Dead Cells
『Salt and Sanctuary』などと並んで、「2D版ダークソウル」として知られているタイトル。
他にも『ローグライク』だったり『メトロイドヴァニア』だったりといった要素も持ち合わせています。
『悪魔城ドラキュラ』を思い起こさせるような、ダークファンタジーな雰囲気のドット絵が、ぬるぬる動く様がたまりません。
Steam では現在アーリーアクセス期間中となっており、アップデートによって日本語対応も進んでいるようです。
また他プラットフォームへの展開も発表されており、今回の BitSummit では、任天堂ブースにて試遊してきました。Nintendo Switch はもちろん、PS4 や Xbox One でもリリースが予定されています。
プレイしてみた感想なのですが、2D版ダクソということもあってか、攻撃のアクションなどがやや独特で(拾った大剣がクセの強いものだったのかな…?)、戸惑っているうちにアッサリ死亡してしまいました。
コンシューマ版で是非リベンジしたいと思います。
Seasons After Fall(邦題:森林物語)
こちらも海外では発売済みですが、PS4 での日本語版のリリースが近付いているタイトルのようです。
幻想的な風景や生き物の描き込みが特徴的で、キツネ版『オリとくらやみの森』とも例えられています。
ただし『オリとくらやみの森』がれっきとしたメトロイドヴァニアのアクションであるのに対して、本作は謎解きがメインのまったりとしたゲームかと思います。
体験した範囲の印象では、とても淡々とギミックを攻略してフラグを立てに奔走して…という感じで、やや緩急に欠けるかな?と思いました。
自然の中を駆け巡るキツネたち動物の姿を、まったりと楽しみたい人に向いているかと思います。
World for Two
『The Deer God』や『Kingdom: New Lands』を思い起こすような、細やかなピクセルアートによる横スクロールと、「機械の体をもつ主人公が、生命を創造し発展させていく」という設定が印象的なゲーム。
体験した範囲では、メインは生物の創造?ということで、アクション要素はほぼ皆無で、どちらかと言えばシミュレーション的な印象を受けました。
わかりやすいゲーム性も相まって、先述の『おわかれのほし』と、響く人は近いのではないでしょうか。
細やかに描かれた背景や生物のグラフィック、落ち着いた BGM などは世界への没入を深めてくれますが、ゲームとしてやれることはまだ少ない印象だったので、今後の開発進行に期待したいところです。
その他に気になったタイトルは、後編へ。