2019年は『Nintendo Switch』に、『FF シリーズ』のタイトルが多数集結します。
「ファイナルファンタジー」シリーズの名作の数々が、Nintendo Switchに登場。
『FF シリーズ』といえば、90年代後半に隆盛を極めた、日本を代表する RPG シリーズの一つです。
今でも世界に通用する国産 RPG ではありますが、共に『2大RPG』と呼び親しまれた『ドラクエシリーズ』と比べて、国内での知名度は少し落ちてきているのではないかと思います。
実際にそれは、最新作である『FF15』と『DQ11』の国内売り上げの差にも表れており、特に若い方たちの中には『FF シリーズ』をあまりプレイしたことが無い、という方も多いのではないでしょうか。
- DQ11:PS4版 約130万本、3DS版 約170万本(Switch版が発売予定)
- FF15:PS4版 約100万本 (+ Xbox One, Steam, ポケットエディション等)
『FF シリーズ』は、先述の『Nintendo Switch』の他に、PS系プラットフォームやスマートフォン、あるいは Steam など、現行のプラットフォームにも積極的に移植が行われています。
「『FF シリーズ』をプレイしたことが無い、プレイしてみたい! 」
「でもたくさんあって、どれから始めてみるのが良いかわからない…」
という方もいらっしゃるかと思います。
本稿では、FF 全盛期に育てられた筆者が、初プレイにオススメのナンバリングタイトルをいくつか紹介したいと思います。
(筆者もまた、最近の FF シリーズからは少し離れた身であり、ナンバリングタイトルを 1~10, そして 12 までしかプレイしておりません、その点についてはご了承ください)
目次
懐かしい、 2D ドット絵の FF
『FF シリーズ』の歴史を大雑把に(本当におおざっぱに…)分類すると、
- 『FF6以前』の2D作品群
- 『FF7以降』の3D作品群
に分けられます。
これらのうち前者の作品群、古き良きドット絵の作品に興味がある方にオススメしたいのが『FF5』と『FF6』の2作です。
3D よりも表現がデフォルメされている分、サクサクと進めることが出来るため、時間が無いけど短時間で FF を楽しみたい、という方にも 2D 作品は良い選択かと思います。
FF5:育成や戦闘など、ゲームシステムを楽しみたい人にオススメ
『FF5』の特徴は何といっても、『ジョブチェンジ & アビリティシステム』です。
20種類以上もの『ジョブ』から、パーティ4人それぞれの役割を選び、組み合わせて戦うことが出来ます。
また『ジョブ』に就いていると、ジョブに応じた『アビリティ』を習得し、別の『ジョブ』にチェンジした際にも、これまでに習得した『アビリティ』の中から1つだけ装備して使用することが出来ます。
この『ジョブ』と『アビリティ』の組み合わせによる戦術の幅が非常に面白く、発売から25年以上が経った今でも、動画投稿サイトなどを中心に、制限プレイややり込みなどが盛んに行われています。
一方で、普通にプレイする分には、深く考えなくてもクリアは出来る程度の難易度になっており、ドット絵で描かれたキャラ達の多様なコスチュームを楽しむ、程度の感覚でプレイすることも可能です。
何周プレイしても「今回はこのジョブから始めて、次にこのジョブを経由して~」と、毎回異なった楽しみ方が出来る名作です。
ストーリーやキャラクターは非常にわかりやすく、笑いあり涙ありの王道冒険譚という感じです。
シリーズの中でも、とりわけ前向きで明るい作風となっており、そういった雰囲気が好きな方には合うのではないかと思われます。
一方で、複雑な設定やシリアスなキャラクター模様を目当てにする方にとっては、いまひとつ物足りなく感じるかも知れません。
『FF5』が遊べるプラットフォーム
- SFC版(WiiU/New3DS でダウンロード可能)
- PS版(PS3/Vita/PSP でダウンロード可能)
- GBA版(WiiU でダウンロード可能)
- iOS/Android版
『GBA版』以降には少し追加要素がありますが、基本的なゲーム内容はどの機種も同じなので、手に取りやすい機種で遊んでみるのが良いかと思います。
FF6:RPG といえばキャラクターやストーリー、という人にオススメ
スーパーファミコン最後の FF にして、2D FF の最終作でもある『FF6』は、国内外ともに今なお、高い人気を誇る名作です。
『FF5』と比べると、システム面での戦術性などはシンプルな本作ですが、その魅力を支えているのは、登場する仲間キャラクターたちです。
仲間は総勢14名、どのキャラも独特な背景を背負っており、シナリオを進める中で、お気に入りのキャラクターが何人も出来ること請け合いです。
『FF5』以前のシリーズ作品よりも、展開はやや重苦しく、シリアスな作風は全体的なグラフィックの色使いにも表れています。
脚本やキャラクターだけでなく、2D FF 最終作として職人芸の極まった緻密なドット絵の表現、そしてシリーズ最高峰との呼び声もあるサウンドなど、『FF6』は『ゲーム』という媒体の持つ様々な側面から、物語を盛り上げてくれます。
特にラストバトルは、ゲームシステム、グラフィック、サウンド、全てがラスト専用の特別な仕様を含んでおり、三位一体の演出はゲーム開発者の視点から見ても圧巻の一言です。
また、2D作品にして、以後の3D作品にも負けないような、かっこいい男性キャラクターが多いのも特徴的で、キャラクターが持つ内面の魅力も含めて、女性からの人気が高い印象があります。
『FF6』を遊んだことのない女性の方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
『FF6』が遊べるプラットフォーム
- SFC版(WiiU/New3DS でダウンロード可能)
- PS版(PS3/Vita/PSP でダウンロード可能)
- GBA版(WiiU でダウンロード可能)
- iOS/Android版
- ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン(中身はSFC版)
基本的に『FF5』と同じ機種で展開されており、内容も同様に『GBA版』と『スマホ版』に少しの追加要素があるのみです。
90年代前半のレトロゲーム全般に興味のある方は、『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』を買ってみても良いかも知れないですね。
FF と言えばやっぱりムービー、3D の FF
FF の全盛期とも言える PS1/PS2 時代の RPG は、どれも大作揃いで、長時間どっぷりと遊ぶことが可能です。
中でも 物語/システム ともにわかりやすく遊びやすい、『FF9』と『FF10』をオススメします。
FF9:絵本のように純朴な、ファンタジー世界観が好きな人にオススメ
2D 路線を引き継いだような、デフォルメされたキャラクターによって描かれるのが『FF9』です。
本作は「わかりやすさ」を意識して作られており、ゲームシステムは先述の『FF5』や『FF6』以上に単純明快、難易度も易しめになっています。
また登場するキャラクターも、『盗賊』や『ナイト』、『黒魔導師』など、特徴が非常にわかりやすく、ゲームに慣れていない人でも遊びやすい作品かと思います。
『FF9』の特徴は、デフォルメの効いた可愛らしいキャラクターと、柔らかい雰囲気によって描かれる世界観だと思います。
『FF6 ~ FF8』が、やや機械文明の発達した、クールな世界観とキャラクターだったのに対して、『原点回帰』をテーマにした本作は、王道ファンタジーの世界を描きあげています。
また『FF6』と同じく物語やキャラクターも魅力的で、仲間になるキャラクターひとりひとりが、それぞれの「悩み」を抱えながら前に進んでいきます。
彼らをまとめ上げるのが、前向きなリーダーシップを持つ主人公の『ジタン』で、仲間を支え、彼もまた仲間に支えられて進んでいく様子は、パーティの一体感を感じさせてくれます。
(余談ですが、筆者は歴代シリーズ主人公の中でも、特にこの『ジタン』が好きなキャラクターです)
世界観に合わせてか、「純粋な人間の見た目」ではないキャラクターが多いのも、『FF9』の特徴です。
尻尾の生えた主人公の『ジタン』をはじめ、ネズミのような顔立ちの『フライヤ』や、まるでモンスターのような種族の『クイナ』、面白おかしい悪役の『ゾーン』と『ソーン』…。
中には、この「普通の人間ではない」「特別な出生をもつ」ことこそが、物語に深く関わってくるキャラクターもいます。
こういったファンタジー全開な雰囲気もあってか、『FF6』と並んで(しかし別の方向性で)女性からの支持が厚い印象があります。
『FF9』が遊べるプラットフォーム
- PS版(PS3/Vita/PSP でダウンロード可能)
- リマスター版(iOS/Android/PS4/Steam/Xbox One/Nintendo Switch でダウンロード可能)
『リマスター版』が幅広い現行機種で展開されており、今遊ぶならこちらになる方が多いかと思います。
ゲーム内容に追加などはありませんので『PS版』でも同じ内容を体験できますが、『FF9』は読み込み時間が長い作品として知られており、『リマスター版』はそこを短縮する設定が可能なため、より遊びやすくもなっています。
また『リマスター版』は「公式チート機能」のようなものが用意されており、これらを活用することで、物語だけを集中して楽しむことも可能です。
番外その1:FFCC
ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター | SQUARE ENIX
『FF9』のような、SD キャラ達の織りなすファンタジーの雰囲気が好きな方には、ちょうど Switch/PS4 でリマスター版の発売が予定されている、『ファイナルファンタジー クリスタルクロニクル(FFCC)』もオススメです。
『FFCC』はゲームキューブで発売された、『FF シリーズ』の外伝作品となるアクション RPG で、牧歌的な世界観や民族楽器を使って彩られる音楽など、その雰囲気に根強いファンも多い作品です。
マルチプレイ可能な点も含めて、同社の『聖剣伝説シリーズ』に少し近い雰囲気を持っており、アクション RPG であるもののアクション要素は全く複雑ではなく、アクションに慣れていない人にもおすすめ出来ます。
(むしろアクション目当ての人には、やや単調で物足りないかと思います)
FF10:リアル頭身で描かれるキャラクターの、ドラマが見たい人にオススメ
以降のシリーズ作品と同様に、リアル頭身のキャラクターを描き上げた上で、シリーズ初のキャラクターボイスが付いたのが『FF10』です。
リアルタイムのキャラクターモデルは、流石に今見ると古く感じますが、プリレンダムービーシーンでのキャラクターは、まさに実写レベル。
そこに声優さんの演技まで備わった表現力は、当時多くのゲーマーに驚きを与えてくれました。
『FF10』は、物語の紡ぎ方においてシリーズ随一の完成度を誇っていると思います。
異世界『スピラ』に召喚された主人公『ティーダ』とともに、プレイヤーは『スピラ』の独特な世界観や文化について学ぶことになります。
その中で、ヒロイン『ユウナ』は父『ブラスカ』から受け継いだ召喚士の使命を果たそうとし、やがて『ティーダ』自身も、父である『ジェクト』を交えた運命に立ち向かうことになります。
育成や戦闘などのシステムは、従来のものから一新されていますが、それでいてとてもわかりやすいものになっています。
『FF4 ~ FF9』では伝統的に、敵味方がリアルタイムに行動する戦闘システムを採用していたのに対して、『FF10』の戦闘はリアルタイム要素を廃しているのが特徴です。
各キャラの使用した技や魔法によって、次にターンが回ってくるまでのカウントが変化するシステムは、じっくりと戦術を考えて戦う面白さも備えています。
ストーリー、システム、ともにハイレベルかつわかりやすい本作もまた、シリーズ入門にはぴったりの作品です。
ただし、一本道が多いマップ構成に関してだけは、少し好みが分かれる部分かと思われます。
『FF1』からの伝統であった「飛空艇を操縦して、世界中を旅する」という要素も、本作では無くなっているため、「RPG なら広い世界を旅したい」という人には少し物足りないかも知れません。
『FF10』が遊べるプラットフォーム
- PS2版(インターナショナル版も存在)
- リマスター版(PS3/Vita/PS4/Steam/Xbox One/Nintendo Switch、詳細は後述)
『リマスター版』は続編の『FF10-2』もセット(『Vita』のみバラ売り)となっており、『FF10』『FF10-2』ともにインターナショナル版の追加要素まで網羅しているため、特別な事情が無い限りは『リマスター版』がオススメです。
また本作の『リマスター版』は、PS3/Vita/PS4/Switch でパッケージ版の販売も展開されているため、パッケージが手元に欲しい、という方にも良い選択かと思います。
番外その2:FF7
シリーズの中でも特に高い人気を誇る『FF7』も、非常にプレイしやすい作品です。
ただし、『FF9』や『FF10』と比較すると
- 3D ゲーム黎明期の作品ゆえに、キャラクターモデルがわかりやすくカクカク
- 『マテリア』による育成システムは、カスタマイズの自由度が高いものの、その分キャラクターの能力的な個性が弱く、役割がわかりづらい。
等の特徴があり、あくまで客観的に見ると、今遊ぶ分には『FF9』『FF10』に軍配が上がるかな、という印象です。
とはいえ、ここで挙げた4作と同様にクセの少ない作品ではあり、何といっても主人公の『クラウド』は、『キングダムハーツ』や『スマブラ』にも出演する、シリーズを代表する人気キャラです。
『クラウド』や『セフィロス』、『ティファ』や『エアリス』といったキャラクターからシリーズに興味を持った方は、『FF7』から始めてみるのも良いかと思います。
番外その3:FF12 ザ・ゾディアックエイジ
『FF12』は ストーリー/システム 共にシリーズの中でも非常に異質な作品で、リリース当初は激しい賛否両論に見舞われました。
戦争や政治的陰謀を取り扱ったストーリーは、背景を知れば面白いものの理解しづらく、キャラ同士の仲の良さや恋愛といったキャッチーな要素も非常に薄い作品です。
また、プログラミングのように仲間の行動を設定し、オート戦闘を主軸とした『ガンビットシステム』は、コマンド入力すら必要無い「味気ないバトル」と拒否反応を示したファンも多かったと思います。
こういった独自性もあり、国内では「取っつきにくいマニアックな作品」という評が多い一方で、『FF10』とは対照的な広大な大地を歩き回れる、オープンワールドの先駆け的な表現など、海外では「挑戦的な作品」として高い評価を得ている側面もあります。
本作にも『インターナショナル版』と、リマスター版にあたる『ゾディアックエイジ版』があり、ストーリーや戦闘システム自体に変更は無いものの、育成システムやプレイに関する細かい気配りが、この2バージョンで大きく 追加/変更 されています。
特に『インターナショナル版』以降に追加されている『倍速モード』は、オート戦闘を軸とした本作にピッタリで、自分の育てたキャラクターと『ガンビット』による戦術で、サクサクとゲームを進めていくことが出来ます。
また『インターナショナル版』で追加された『ジョブシステム』は、『ゾディアックエイジ版』で2つの『ジョブ』を組み合わせることが可能になり、育成の方針とパーティ編成に頭を悩ませるのが非常に面白く、倍速モードも相まって何度でも楽しめる作品となっています。
そのほか、ロード時間の短縮や、マップの常時拡大表示が可能など、『ゾディアックエイジ版』に関しては、初めての方でも楽しめるような細かい変更が、非常に多く施されています。
たしかに独特な要素の多い『FF12』ですが、『ゾディアックエイジ版』に関しては、個人的なイチオシとして広く勧めたい作品でもあります。
初めての方はもちろん、かつて『FF12』をプレイしたという方も、大きく生まれ変わった本作を遊んでみては如何でしょうか。